自筆証書遺言だけど手書きじゃなくても大丈夫!知っておくと便利な財産目録の作り方

自筆証書遺言は、全文を自分の手書きで作成する必要がありますが、ただ一つ例外があります。

それは、「財産目録(相続財産の全部または一部の目録)」です。

財産目録だけは、自分の手書きで書く必要はないため、パソコンで作成したり、遺言者以外の人が作成することもできます。

ただ、自分の手書きでなくても構わないとはいえ、財産目録を作成するにあたっても一定のルールがありますので、その点は気をつけなければなりません。

今回は自筆証書遺言における財産目録の作り方について解説していきます。

この記事の要点

  • 自筆証書遺言の財産目録は、相続や遺贈の対象となる財産のリストとのことを言う。
  • 財産目録は、遺言書本文とは別の用紙で作成する必要がある。
  • 財産目録には、署名押印する必要がある。
  • 財産目録の形式は自由で、パソコンで作成しても他の人が作成してもよいし、登記事項証明書や預金通帳のコピーをそのまま使っても構わない。

財産目録とは

財産目録は、遺言によって相続させる財産や遺贈する財産のリスト(目録)のことを言います。

多数の財産がある場合には、例えば遺言の本文に「別紙財産目録1記載の財産をAに相続させる」と記載して、別紙として財産目録を添付しておくと、遺言の文章が煩雑にならなくて見やすくなります。

このように、遺言の本文とは別に財産のリストを添付することにより、遺言書の作成を簡便にするとともに、遺言書を見る側にとっても分かりやすくするのが、財産目録の目的といえます。

自筆証書遺言における財産目録のルール

自筆証書遺言において、自書によらない財産目録を作成する場合のルールは、いくつかあります。

1.遺言書本文とは別の用紙で作成する

まず、自書によらない財産目録は本文とは別の用紙で作成する必要があります。

そのため、手書きで書いた自筆証書遺言と同じ用紙に財産目録を記載することはできません。

なお、法的には定められていませんが、別の用紙で作成した財産目録は、遺言書本文と一緒にステープラーで綴じた上で綴じ目に契印をしておいた方がよいでしょう。

2.署名押印をする

もう一つは、財産目録の毎葉に署名押印をする必要があります。

財産目録の記載が用紙の片面のみの場合は、表面か裏面の1か所に署名押印をすればよいですが、財産目録の記載が両面にある場合は、両面のそれぞれ署名押印をする必要がありますのでご注意ください。

押印する印鑑については、特に指定されていませんので、遺言書本文で押印した印鑑とは違う印鑑を押印しても問題ありません。

2点のルール以外は財産目録の形式は自由

自書によらない財産目録については、以上の2点のルール以外は、特に決まりはありません。

そのため、その他の書き方や形式は自由で、パソコンで作成するのはもちろんのこと、不動産であれば登記事項証明書をそのまま財産目録として添付したり、預貯金であれば通帳のコピーをそのまま添付することも可能です。

相続財産がたくさんある場合には、財産目録を全て手書きで書くとなると、遺言を作成する人にとっては結構な負担になりますので、財産目録だけでもこのような自由な形式で作成できるというのはかなり便利ですね。

自筆証書遺言を作成する場合には、このような財産目録を利用することも考えてみてはいかがでしょうか。