「終活」のはじめの一歩。自分を見つめなおす「エンディングノート」について

皆さん、「終活」という言葉は聞いたことがあるでしょうか。

「終活」とは、「人生の終わりのための活動」で、自分の人生を見つめなおして総括をするとともに、自分の人生の最後を迎えるにあたって様々な準備をすることです。

平均寿命が年々伸びるとともに高齢社会が進む中で、最後まで自分らしい人生を送るために、終活についてじっくり考える人も増えています。

そんな「終活」を始めるにあたって一番うってつけなツールが、「エンディングノート」です。

エンディングノートは、もしものときに備えて、自分の人生のエンディングについて、自分自身の希望を書き留めておくノートのことです。 

エンディングノートには、遺言のような法的な効力があるわけではありませんが、書くことによってさまざまなメリットや新たな気づきを得ることができます。

今回は、この「エンディングノート」について解説していきます。

この記事のポイント

  • エンディングノートとは、もしものときに備えて、自分がどのように人生を終えたいのかを綴るノート。
  • エンディングノートには、自分のことや財産に関すること、自分が希望する最期のことについて自由に書く。
  • エンディングノートは、「自分の人生の最期をどう迎えたいかの希望」や「家族や大切な人へのメッセージ」を伝える手段になりうる。
  • エンディングノートは、「自分の人生の整理整頓」のツールとして使うことができる。
  • 若いうちからエンディングノートを書くことで、自分自身の人生を見つめなおす良い機会になる。

エンディングノートに何を書くのか

エンディングノートには、何を書くのでしょうか。

エンディングノートは、自分がどのように人生を終えたいかを綴るノートで、家族に対するメッセージの意味もあります。

遺言のように法律で定められているものではありませんので、それこそ自由に書きたいことを書いても構いません。

ただ、一般的なエンディングノートは、以下のような内容を記載することが多いです。

・自分のこと(自分の歴史、家族、家系図、趣味など)

・財産に関すること(預貯金、不動産、生命保険、借入金、ローンなど)

・医療・介護のこと(持病、服用薬、かかりつけの病院、告知や延命治療の希望の有無、臓器提供など)

・葬儀のこと(葬儀の実施の有無、葬儀の規模、葬儀会社、宗教・宗派、戒名など)

・お墓のこと(お墓の購入、埋葬方法の希望など)

・遺言のこと(遺言書作成の有無、遺言書の保管場所など)

・形見分け・遺品整理のこと(形見分けの内容、遺品の処分について)

・連絡先(葬儀などについて知らせてほしい人の連絡先)

・家族や大切な人へのメッセージ(家族や知人への感謝のメッセージなど)

つまり、自分のことや財産のこと、最期を迎えるときのことについて、思いつくことを自由に書いていけばいいでしょう。

とはいえ、

「自由に書いていいといっても、何をどのように書いたらよいか分からない」

という方も多いでしょう。

そのような方のために、さまざまな市販のエンディングノートがあります。

書店で探せばすぐに手に入りますので、このような市販のエンディングノートを利用するのもおすすめです。

市販のエンディングノートは、ほとんどがあらかじめ用意された記入欄を埋めていく形なので、初めての方でもとっつきやすいでしょう。

市販のエンディングノートを書いていくうちに、用意された記載内容以外にも、「こんなことも書いておきたい」と思うようになるかもしれません。

そのように市販のノートで物足りなく感じるようになったら、自分のオリジナルのエンディングノートの作成に挑戦してみるのもよいかもしれません。

何のためにエンディングノートを書くのか

エンディングノートは、遺言と違って、その内容に法的な拘束力はありません。

では、何のためにエンディングノートを書くのでしょうか。

エンディングノートを書く意味は、人によってさまざまなものがあると思いますが、主なものとして以下のようなものがあるでしょう。

自分の人生の最後をどう迎えたいかの希望を伝える

「自分が望む人生の最期を迎えるために、それを家族や知人に伝える手段としてエンディングノートを利用する」というのが、エンディングノートを書く理由として一番多いものです。

自分に死が迫ったときに、「自分が望む人生の最期」について、じっくり考えて周りの人に伝える余裕がある人は少ないでしょう。

自分が健康なうちにあらかじめ「自分の望む人生の最期」について考えて、ノートに書き留めておくことで、後々に家族や周りの人がノートを見て本人の希望どおりの「人生の最期」を叶えてくれることが期待できます。

家族や大切な人へのメッセージ

普段、家族や知人に感謝の気持ちを伝えたりするのは、照れくさいですね。

これまで口に出して伝えることができなかったことも、エンディングノートに書くことによって、伝えることができます。

これまでの人生でお世話になった家族や周りの人に対する感謝の気持ちや、照れくさくて言えなかった本当の気持ちも書いてみましょう。

「もっと話をしておけばよかった」「きちんと伝えておけばよかった」という後悔が無くなりますよ。

自分の人生の整理整頓

エンディングノートを書くことによって、これまでの自分を振り返ったり、今現在の自分の状況を確認したりすることができます。

自分がどういった人間で、これまでどんな人生を送ってきたのか、どんなことが好きで、どんなことが楽しかったのか、そういったことを思い出しながら、自分にとって何が大事で何が大事でないのかを見極めることができます。

このように、過去や現在の自分自身を確認することによって、自分にとって本当に必要なものやいらないものを知ることができ、ある意味で「自分の人生の整理整頓」をすることができます。

自分を見つめなおすツールとして

エンディングノートというと、終活のイメージがありますので、どうしても若いうちは関係ないと思いがちです。

しかし、実のところ、エンディングノートに取り組むのが早ければ早いほど、大きなメリットがあります。

それは、エンディングノートを書くという作業をとおして、「自分自身を見つめなおすことができる」ということです。

エンディングノートを書いていくうちに、これまでの自分の人生を見つめなおし、これからの人生をどう生きていくのかについて、じっくり考えるようになります。

過去の自分を振り返る中で、本当の自分の気持ちや本当に自分がやりたいことが見つかるかもしれません。

若いうちに自分の人生を見つめなおせば、これからの人生をよりよくするために、いくらでも軌道修正ができます。

このように、若いうちからエンディングノートを書くメリットは、自分の人生を変えることができるかもしれないくらい非常に大きいのです。

日々の暮らしの中で、自分の人生を見つめなおす機会はなかなか作れません。

皆さんも、できるだけ早いうちからエンディングノートに取り組んでみてはいかがでしょうか。

エンディングノートをとおして自分と向き合い、見つめなおすことで、思わぬ発見があるかもしれませんよ。