令和4年4月から免税の範囲が大幅に拡大。相続登記の登録免許税の免税措置について
不動産の相続登記をする場合、登録免許税を納める必要があります。
通常、相続登記の登録免許税は不動産の価額に対して0.4%かかりますが、一定の要件に当てはまる場合はこの登録免許税が免税となる措置が設けられています。
この免税措置は平成30年から設けられていますが、実は令和4年4月1日から、免税の範囲が大きく拡大しました。
今回は、免税の範囲が拡大された相続登記の登録免許税に関する免税措置について解説します。
この記事のポイント
- 個人が相続により土地の所有権を取得した場合において、その個人が相続登記を行う前に死亡したときは、その個人のために土地の相続登記をする場合は登録免許税は免税となる。
- 不動産の価額が100万円以下の土地について相続登記をする場合、登記登録免許税は免税となる。
死亡した人のための相続登記の登録免許税の免税措置
相続登記の登録免許税に関する免税措置は、2種類あります。
そのうちの1つが、死亡した相続人のための相続登記に関する登録免許税の免税措置です。
これは、個人が相続により土地の所有権を取得した場合において、その個人が相続登記を行う前に死亡したときは、その個人のために土地の相続登記をする場合は登録免許税は免税となる、というものです。
すでに死亡した人の名義にするために相続登記をするというケースはなかなか無いかもしれませんが、例えば、相続した土地を第三者に売却したけれどもその登記をしないまま相続人が死亡してしまった場合など、一旦死亡した相続人名義にする必要がある場合にこの免税措置の利用価値があるでしょう。
この免税措置を利用する場合は、登記申請書に「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と記載する必要があります。
なお、この免税措置は、令和7年3月31日までとなっています。
100万円以下の土地の相続登記をする場合の登録免許税が免税に
相続登記の登録免許税に関する免税措置のもう1つは、不動産の価額が100万円以下の土地の相続登記に関する登録免許税の免税措置です。
これは、土地の相続登記をする場合において、不動産の価額が100万円以下の土地であるときは、その土地の相続登記については登録免許税が免税となる、というものです。
ここでいう「不動産の価額」は、固定資産税評価額を基準とします。
今回、免税の範囲が拡大されたのは、こちらの免税措置になります。
これまでは、一定の要件を満たした10万円以下の土地が免税の対象でしたが、今回の税制改正により、100万円以下の土地であればどんな土地であっても免税の対象となりました。
免税の基準が「100万円以下の土地」の一点だけとなりましたので、これまでよりも免税措置を使いやすくなったといえます。
この免税措置を利用する場合は、登記申請書に「租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」と記載する必要があります。
なお、この免税措置についても、令和7年3月31日までとなっています。
まとめ
今回は、相続登記の登録免許税の免税措置について解説しました。
令和4年4月から免税の範囲が拡大され、免税の対象となる土地も大きく広がったことにより、今までよりも免税措置の利用がしやすくなったと思います。
免税措置があるから相続登記をした方がよい、というわけではありませんが、利用できる制度をしっかり利用して少しでも手続きのコストを下げた方がよいでしょう。
なお、期限が延長される可能性はありますが、今回の免税措置はいずれも令和7年3月31日までとなっていますので、ご注意ください。